マンションやビルの屋上にはどんな防水加工を施していますか。 さまざまな加工方法がある中で、シート防水という加工方法を聞いたことがある方は多くないでしょう。
そこで今回は、シート防水の特徴やメリット、補修タイミングを紹介します。
□シート防水ってどんな工法?
シート防水とは、下地の上に防水シートを敷き詰めることで防水層を作る防水工事のことで、耐久性とコストのバランスに優れています。
この工法は、ウレタン防水材を塗り重ねて厚みを作るウレタン塗膜防水とは違って既製品の防水シートを使用するため、施工後のムラができにくく、均一な仕上がりと安定した性能が発揮できます。
また、防水加工をした後でもシートの上を歩行でき、工期も短時間で済むため、ビルの屋上に使われやすいです。
大きなメリットとして、広範囲を短時間で施工できる点と、下地の影響を受けずに施工できる工法がある点が挙げられます。
しかし、施工場所が狭かったり複雑な形だったりする場合、時間がかかり、シートの隙間から漏水することも。 他にも、機械を使用する場合には周囲への配慮が必要であり、騒音対策や事前説明をしなければいけません。
シート防水の工法は接着工法と機械的固定工法があります。
*接着工法について
接着工法は、下地に接着剤をつけて防水シートを貼る工法です。 シート間のつなぎ目は漏水が起こりやすいですが、この工法の場合、溶着剤で溶着させたり熱処理で融着させたりするため、防水性を維持できます。
他にも、工期が短いことが特徴であり、人通りの多い場所や紫外線の影響が強い場所に適しています。
しかし、接着工法は下地の影響を受けやすいため、下地の状況に左右されます。 凹凸の激しい場所や雨漏りがある箇所、劣化がある箇所は予め補修しておかないとこの工法は使えません。
*機械的固定工法について
機械的固定工法は脱気工法とも呼ばれ、固定ディスクというパーツで防水シートを固定する工法です。 接着工法とは異なって下地に影響されないため、状態が悪い下地にもシート防水をできます。
また、脱気筒から湿気を排出できるため、建物へのダメージを抑えられます。
□シート防水のメリットとデメリットを紹介します!
ここではシート防水のメリットを3つ紹介します。
1つ目のメリットは、下地を選ばずに施工できる点です。 先ほども紹介しましたが、機械的固定工法を用いる場合、接着工法で施工できない下地でも施工可能です。 また、防水シートを上から被せる工法のため、前回の防水加工がシート工法以外の場合でも問題なく施工できます。
2つ目のメリットは、耐久性に優れている点です。 シート防水の他に、防水工事にはウレタン防水やFRP防水、アスファルト防水があります。
ウレタン防水は10年未満、FRP防水は10年から12年、アスファルト防水は15年から20年の耐用年数と言われています。 シート防水は10年から15年の耐用年数がなので、コストの観点から見てもおすすです。
シート防水のシートにはゴムシートと塩ビシートの2種類がありますが、塩ビシートの方が厚いため、塩ビシートを使用することが一般的です。
3つ目に、工期が短い点です。 シート防水は既製品のシートを用いるため、迅速な施工が可能です。
例えばウレタン防水の場合、液体のウレタン防水剤を用いるため、職人によって仕上がりが左右される上、乾燥時間が必要です。
実際に、ウレタン防水は3日から10日、FRP防水は1日か2日、シート防水は2日から4日、アスファルト防水なら5日から7日の工期が必要です。
□補修するべきタイミングを紹介します!
防水加工を施すべきタイミングがわからないと、いつ施工したら良いかわからないですよね。 ここでは、実際に発生する劣化現象を3つ紹介するので、補修するタイミングの目安にしてください。
1つ目に、防止シートの破断です。 破断した箇所からは雨水が侵入し、漏水が起こる可能性が高いため、早急に補修してください。
2つ目に、防水シートの膨れや剥がれです。 接着工法で防水シートを固定した場合、侵入した湿気やコンクリート内にあった水蒸気が膨張し、シートが膨らむことがあります。 また、固定ディスクで固定していてもシートがめくれて端が剥がれることもあり、こちらも早急な補修が必要です。
3つ目に、防水シートの亀裂です。 シート防水をする屋上は直射日光を受けるため寒暖差が大きく、温度の高低差が発生します。 耐久性の高い防水シートであっても、紫外線の影響には耐えられず亀裂が起こります。
亀裂が発生している場合、メンテナンス時期であるため、補修時期の目安にしてください。
□まとめ
今回は、シート防水の特徴やメリットと、補修の時期を紹介しました。
シート防水は、防水シートを貼ることで防水層を作り水の被害を防ぐ工法であり、工期が短く耐久性に優れています。 また、防水シートも破断や膨らみ、亀裂があった場合、適切な効果を発揮できないため、補修時期の目安にしてください。
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